借金の理由。メモ。

僕には借金がある。 サラ金2社から170万円、奨学金が300万程。 これを多いと取るか少ないと取るかは人次第だけど、僕は無職で、失業保険から月々の返済を行なっているわけなので、絶体絶命と言っても差し支えないだろう。 

漫画のウシジマくんに書いてあったが、負債額が年収を超えてしまうと「人生が終わる」つまり再起不能になるらしい。

 僕は何回死ねばいいんだろうか。 

月々の返済は6万5千円。月額6万5千円で「僕の人生は既に終わっている」という現実から目を背けることができる。そういったサブスクリプション形式のサービスに加入したと思うことにしている。

 僕は所謂「子供部屋おじさん」である。

ではあるが、社会に出てから現在までずっと、月額5万円〜7万円を実家に入れており、なんとなく、成人としての義務のようなものは果たしている気がする。 

引きこもりニートの子供部屋おじさんというよりも、「ザ・ノンフィクション」のような雰囲気で捉えていただくと実寸大に近い。

 ひとつ言い訳をさせて貰うと、この借金は僕が作ったものではなかったりする。

 僕の借金は全て父親への名義貸しである。

 社会人になりたての頃、仕事で鬱状態になっていた僕の前に父が現れた。父は僕を元気付けたあと「資産運用をして利益を生むから」という一言で嘘だとわかるような儲け話を真剣な目で僕に説いていた。 

なんだかもう色々なことに疲れてしまって、気が付くと僕は無人契約機で限度額一杯の借金を借りてそれをそのまま父親に渡していたという流れ。

 当時、マトモな判断能力が備わっていなかったこともあるけど、やっぱり父親という存在への恐怖も大きいように思う。 

子供の頃から、人によっては(というか日本の司法では)虐待とされるような教育を受けてきた。

たぶん、僕の脳みそは恐怖心で萎縮しており、マトモな判断能力や思考能力が備わらなかったのではないだろうか。あと発達障害とかもあるし。 

僕は文字通り、人間の欠陥品だ。

 父は、僕のその欠陥部分に漬け込んだに過ぎない。 

そう思うと、なんだかやるせない気持ちになる。

父親が大手メーカーの部長で年収1600万円であること、借金の理由が酒とオンナであることを加味すると、やっていられない。 

僕が一生苦しんでいくかもしれない借金は、父親の給料何ヶ月分にあたるのだろうか。

 僕の借金を使って、何人のオンナを口説くことが出来るのだろうか。

 僕の借金は、父親のザーメン何滴分に相当するのだろうか。 

 やっていられない。 

ちなみに、自己破産をしようとしても難しい。

 現在父親には借金の返済能力はなく(借金で首が回っていない)、僕が自己破産すると返済義務は母親に回る。 

母親も、父に騙されて借金を背負い倒しており、これ以上の負債が重なると生活できなくなる。その扶養である弟の人生が狂うことも自明だ。

 奨学金の返済義務は保証人である叔父(父の実兄)に回るが、後天的な脳障害を負っている叔父の意識が混濁としている間に父親が契約書を書かせて400万を騙し取っており、叔父は既に借金漬けになっている。このうえに300万円の負債が重なると、どう考えても叔父は死ぬ。

 僕が倒れると2人の人間が死ぬから、僕は倒れられない。

皮肉なもので、そういったプレッシャーで押し潰されてしまって(僕が「生まれてから彼女が出来たことないくらい」気持ち悪い人間であることや、自意識をこじらせてしまっていること、電車の中で発狂してしまうタイプの発達障害者であることも、別角度から僕を殺しにきている)、なんやかんやで無職になってしまった。

 どうなるんだろう、と毎日考える。

僕は死ぬのか？僕は死ぬことができるのか？  

中学生の頃、酷いイジメで学校に行けなかった僕は、父親から毎日吐くまで殴られていた。

 家族が寝静まったあと父の書斎の前で包丁を持ちながら立ち尽くし、刺し殺すことができない自分の弱さ、情けなさで押しつぶされそうになっていた。 

いま、あの頃に戻ることができたら、僕は父親を殺すことができるだろうか。 

母親の借金もまだ取り返しがつく範囲で、叔父に迷惑を掛ける前の父を。僕は殺すことができるだろうか。 

僕は、書斎の前で包丁を握りしめ泣いていた。

僕はおそらく、父親を殺すことができない。  

僕の脳は恐怖心で萎縮している。

僕は文字通り、人間の欠陥品だ。